※本調査は、全国の官公庁・自治体・外郭団体をはじめとした8,300機関から公示される入札案件を収集した「NJSS」の情報を元とした独自調査です。
2023年3月28日、令和5年度の国家予算が成立しました。今年度の一般会計総額は、過去最大の114兆3,812億円に達しました。
政府は令和5年度予算を、「歴史の転換期を迎える中で、国内外の重要課題に取り組み、未来を切り拓くための予算」と位置づけています。この予算は、我が国が直面する課題に対する解決策を見出し、持続的な発展を推進していくために注力される内容となっています。
入札リサーチセンターが特に注目した分野は、以下の3つです。
本レポートでは、その結果を報告するとともに、今年度の各カテゴリの入札動向を解説いたします。
■調査概要
国・省庁、地方公共団体、外郭団体など、全国8,300機関
【集計期間】
案件公示日が2022年5月1日~2023年4月30日の案件を対象
※入札情報速報サービス「NJSS」で収集した案件情報に限る
【① こども政策】
保育・子育て支援に関する案件や、いじめ対策・教室の運営など様々な規模の案件が公示されています。
公示案件数は、「保育」に関連する案件が3,102件と1位に。
▼入札形式別 案件割合
また、子育て支援は重要な施策であり、予算の割り当ても大きくなっている傾向が見られます。
▼公示案件数
数百億円という大規模な入札案件が複数公表され、これにより「脱炭素」カテゴリの合計落札金額に大きな影響が生じました。
<案件例> 入札情報速報サービス「NJSS」より
案件名:グリーンイノベーション基金事業/製鉄プロセスにおける水素活用 高炉を用いた水素還元技術の開発 外部水素や高炉排ガスに含まれるCO2を活用した低炭素化技術等の開発
落札金額:48,342,590,100円
今年度の国家予算から、入札リサーチセンターが特に注目した分野が「こども政策」「DX・地域創生」「GX・エネルギー」の3つの分野です。
「こども政策」に関しては、特に注力している子育て支援に関する案件が増加傾向にあります。
2023年4月に発足した「こども家庭庁」の予算は総額4兆8104億円。政府は少子化対策に力を入れ、こども・子育て政策の実行を強調しており、これに伴い入札においても高い注目が集まっています。(※1)
(※1)入札マーケット動向マンスリーレポート[2023年01月度]
入札案件 検索キーワード ランキングにて、11位に「子育て」がランクイン。
2023年1月に登録された「子育て」関連の入札案件は、前年比115%と増加。
「DX・地域創生」に関しては、「25年の崖」問題が迫っていることから、国全体で業務のデジタル化・効率化の動きが盛んになっています。この動向は官民を問わず広まっています。
「DX」「デジタル」というキーワードを用いた入札案件の検索数も増加しており、注目度の高さがうかがえます。(※2)
入札案件 検索キーワード ランキングにて、13位に「デジタル」、16位に「DX」がランクイン。
「GX・エネルギー」の分野では、予算の多くが「脱炭素」「カーボンニュートラル」「エネルギー」カテゴリに割り当てられています。
これは、エネルギー基本計画やグリーン成長戦略など、原発依存から再生可能エネルギーへの移行を加速させる方針に取り組んでいることを示しています。
入札リサーチセンターは、このように入札情報速報サービス「NJSS」で収集している過去15年間に及ぶ2,000万件以上の入札データを元に調査・分析をしていることを強みとしています。入札に関するデータ・傾向を広く共有し、入札の透明性を高めることで受注機会の増大をはかり、その結果として、今後も経済や社会の活性化に貢献し、豊かで持続可能な社会を目指してまいります。
※1 株式会社ブレインフィードにて運営
※2 OurPhoto株式会社にて運営
※3 株式会社うるるBPOにて運営